2015年3月29日。
遂に日本を熱狂の渦に巻き込む大きな旋風となったRiot Games社のタイトル『League of Legends』、その、日本最強を決める戦いが行われた。
あの熱い戦いを、元FocusMeメンバーであったMaa氏が分析します。
動画と一緒に、ぜひお楽しみください!
Riot Games 公式大会に出場する初めての日本チーム決定戦
さて、空前の規模で行われたLJL 2015 Season 1 Final & IWCI 日本代表決定戦。
今回はその試合の内容について振り返ってみようと思う。
Season1の覇者を決める本決勝戦は、日本最強の座を決めるだけでなく、国内のチームで初めて、Riot Gamesの主催する国際大会に出場する権利を得ることが出来る重要な一戦であった。
過去行われた国際大会には、Ozone RampageがWCG 2013の日本代表に、そしてDetonatioN FocusMeがIEM(Intel Extream Masters) Season8 Singaporeに参加したことがあるが、これらは全てRiot Gamesが主催する大会ではない。そもそも日本のチームは、Riot Gamesが主催する大会に、出場することすら出来なかったのだ。
しかし時は流れ、日本サーバーの設立が決まった今、とうとう世界へ通じる道が開かれた。
その誉れ高き一枠を得るチームは、FocusMe(以下FM)になるのか、RabbitFive(以下RF)になるのか、ファンの興奮は否が応でも高まったに違いない。
FocusMe vs RabbitFive – 第1戦目~第2戦目
さて、試合の内容に移ろう。
一戦目は試合の天秤が振れに振れ、勝利がどちらに転ぶか分からない白熱した展開となった。
Jungler-Awaker選手の執拗なMidキャンプにより、Estelim選手-Zedが育つと、RFは大幅な優位を築いた。しかしながら前年度王者のFMが貫禄を見せる。特筆すべきはYutapon選手-Kalistaだろう。彼自身の卓越した技能により集団戦で優位を取り戻すと、FMが辛くも勝利を手にした。
選手として活動したことのある身として実感したことがあるが、RFのこのような負け方は酷くメンタルに悪影響を及ぼす。彼らにとっては非常に苦い黒星となったことだろう。
事実として二戦目、RFは開始10分までの展開こそ悪くはなかったものの、前試合で苦渋を舐めさせたFMのCeros選手の逆襲に遭う。Gankによりキルを献上するや最後、彼のLeBlancが怪物へと変貌していく。そしてBotレーンでのLH数はFMに優位。Botタレットを先に折ったのもFMだった。FMはその好機を逃すこと無くファーストドラゴンを確保する。
また中盤での小規模戦ではKazu選手-ThreshがMadLifeばりのプレイを披露すると、徐々にゴールド差が開き始めた。
Top-Moyashi選手とSupport-7kane選手は健闘していたものの、それが報われることはなく、集団戦での敗北を重ねたRFは、気がつけば土俵際まで追い込まれていた。
僅かな逆転の目を探すRabbitFiveではあったが、FMは落ち着いたプレイングでRFを寄せ付けず、そのままNexusを破壊せしめた。
一試合目の浮足立ったプレイから落ち着いたRFはLoLの正当な勝ちパターンを辿り、危なげない勝利を得た。FMは勝ち星を得た上で、精神的にも優位に立つことが出来ただろう。
そうして迎えた三戦目、FMは必殺の隠し球をRFに投げつけると、彼らは為す術もなく敗れ去った。
全試合の中で、もっとも観客の興味を惹いた試合は間違いなく三試合目に違いない。ある意味で面白く、ある意味で全く面白みのない試合は、観客のみならず、解説のRevol氏・実況のeyes氏をも感嘆させた。
FocusMe vs RabbitFive – 第3戦目
まずはBAN/Pickから確認していこう。
RF Bans: Rek’Sai, Thresh, Cho’gath
FM Picks: Maokai, Nunu, Lulu, Sivir, Diana
RF Picks: Kalista, Morgana, Ezreal, Rumble, Jarvan IV(全てBan Pick順)
これらのBan/Pickを見てどう思うだろうか。
第三試合はFM側がBlueサイド(先にBanとPickの権利を持つ)のため、FP(First Pick)がMaokaiとなる。
Maokaiと言えばFM Bonzin選手の得意チャンピオンで、2015シーズンを通して驚異的な成績を収めているチャンピオンとなる。となれば、Maokaiは彼のためのピックであると判断するのが通例であろう。決勝戦に限った話で言えば、一試合目と二試合目での彼のパフォーマンスはお世辞にも良いとは言えず、そのテコ入れにもっとも得意なチャンプをピックしたと考えるのは筋が通る。
ついでFMはNunuとLuluをピックした。Nunuはカウンタージャングルに非常に長けたチャンピオンであり、効果的な運用が出来れば敵Junglerを腐らせることが出来る強力なピックだ。そしてLuluはFM Kazu選手の得意チャンピオンであり、どこのレーンに行っても活躍出来る万能チャンピオンだろう。過去二試合ではRFが必ずBANしていたため、披露する機会に恵まれなかったが、初めて陽の目を見ることになった。
そうしてSivirとDianaのピック。
試合後アフターパーティーの会場でYutapon選手に言質を取ったところ、相手の構成に対して、この構成を当てることが出来た時点で勝ちを確信したと言っていた。
全てのピックが完了すると、互いのチャンピオンを交換する時間がある。FMのピックを見れば分かることだが、SivirとNunuを除いた全てのチャンピオンでレーン選択に融通がきき、どこにどのチャンピオンが配置されるか全く分からない構成なのだ。前述のとおり、MaokaiとLuluが各プレイヤーの得意チャンピオンであるからして、おおまかな予想を立てることは出来ても、その実、その予想が本当に正しいものなのか、誰にも分からなかったのだ。
ルールを失念してしまったが、記憶が正しければ、残り時間が20秒を切ったタイミングでチャンピオンのスワップは禁止される。そうして蓋を開けてみれば、FM BonziN Lulu, FM Ceros Diana, FM Kazu Maokaiという、誰もが予想していなかった構成が出来上がったのだった。
特に予想外なのはSupport Maokaiだろう。LJL Finalの時期にはNautilusなどのTanky Junglerによるサポートが見られるようになってきつつあったが、Support Maokaiというものの存在はほとんど知られていなかった。Maokaiと言えばTop Laneという先入観が、誰にしも出来上がっていた。それはRFの選手と言えども例外ではないだろう。ましてや、そのチャンピオンがBonziN選手の得意とするものであれば、である。
かくして試合が始ると、この奇妙な構成は一分の隙を見せることなく、完膚なきまでにRFを叩き潰したのであった。
ライター:President Maa
写真・編集:DetonatioNスタッフ
>>Vol.2へ続く