2015年5月30日土曜日、大いに注目を集めた一戦。
第5戦を前に、あの試合をMaa氏が振り返ります!
元兄弟チームの戦いが始まる。
1週目の試合を無事に勝利で終えたDetonatioN FocusMeは、2週目に元兄弟チームであったRabbit Fiveと戦うことになる。以前まで同じDetonatioN傘下に居たRFは、Season2が始まる直前にDetonatioNから独立した組織となった。
袂を分かつ原因になったのは、LCSの規約のため。
一つの組織がLCSに2つのチームを構えることが出来なくなったことは、韓国や北米、様々な地域のチームに影響を与えているが、日本においても、将来を見据えた上でルールに準拠しておこうという思惑が働いたのではないか。
Season 1では1位と2位をDetonatioNで独占し、トルコ行きを賭けたGrand FinalではDFMが3-0のストレートでRFを破り、優勝を遂げている。そのDFMは今シーズンより外国人選手2人を加えると、前評判の高かったIMT 7hを圧倒的な力で打ち負かし、その実力の高さを見せつけた。
一方のRFは、かつてはCROOZ Rascal Jesterで活躍したRainbrain選手がJunglerとして加入し、ファンの心を震わせたリーダーAwaker選手はSupportにポジションを変更した。新生RFが迎えたOzone Rampageとの初戦は、序盤に優位を確保しながらも中盤以降のミスが目立ち、勝てたはずのゲームを落としてしまった印象を持った。そのミスを克服できるのかが、勝利の鍵かもしれない。
Zerost選手不在のRF
まず試合が始まり驚いたのは、RF側のメンバー変更だ。RFはADC Zerost選手が不在で、元来Midを務めるEstelim選手が代打を務め、MidにはリザーブのShinmori選手が収まった。何が理由かは分からないが、これはRFにとって大きな痛手となるに違いない。事実、勝敗予想でRFの勝利に投票したのはわずか15%。実に85%の観客が、DFMの勝利を予想していた。このメンバー変更は、吉と出るか凶と出るのか。
*6月10日にRF公式Facebookページにて詳細が公開された。
序盤優勢はDFM
試合は派手な動きを見せること無く、ゆっくりと進んでいくが、序盤にかけてGankを成功させたDFMが優位を築く。しかし、その差が思ったよりも広がらない。RFが上手く持ちこたえているのはもちろんのことだが、一番大きな理由はRF YutoriMoyashi選手にある。彼の操るGnarは元よりDFM BonziN選手が使うMaokaiに対して有利なチャンピオンで、RF側で唯一レーンでのアドバンテージを確保していたからだ。とは言え、先にドラゴンを2体確保し、Gankによる経験値差、資金差を確保していたDFMは、Gnarさえ何とかすればどうとでもなる試合に見えた。だが、その意識が強すぎたのか、彼らは本来やらないような失態を犯してしまう。
不可解なチェイス
24分30秒、未だに折れていないTopのアウタータレットを活かしFarmを続けるYutoriMoyashi Gnarの動きを、FMは5人全員で咎めようとした。この動きはDFMの方針上、理に適ったように見えるが、明らかにやり過ぎだった。Gnarのエスケープ性能を活かしながら逃げるYutoriMoyashi選手に翻弄されるDFMは翻弄される。その隙を逃さずRFは残りの4人でMidへの攻勢を強めると、一気にインナータレットまでを破壊した。更にはこのタイミングで復活した3体目のドラゴンまでをも、RFが確保した。優位を持っていたDFMは、丁寧にプレイを続ければ良かったはずで、これは痛恨のミスだった。そして、この判断ミスが、後の悲劇につながっていく。
まさかのBaron Steal
DFMが得た優位は、前述のミスプレイで振り出しに戻った。DFMが犯してしまった初歩的なミスは、観客を驚かせたが、同時に選手たちの平静も奪ったのではないだろうか。Baronを始めることは悪い判断ではない。しかしBaronを取られてしまうリスクがあるのならば、止めるべきだった。
Jungler同士のSmite勝負は、時の運と言われることもある。
Smiteのタイミングは早すぎても遅すぎても駄目で、プロプレイヤーであってもそのタイミングを計ることは容易ではない。そのため、敵のJunglerを退けるような行動がチームとして必要になってくることも多い。そしてRainbrain選手のBaron Stealは、まさに神がかり的だった。Rokenia選手を責めることも出来ないほど完璧のタイミングで、Stealを成功させたのだ。
更にはここかが一連の戦闘でDFMは総崩れになると、まさかのエンドゲームも見える展開を迎える。辛くもネクサスを守り切ることは出来たが、ネクサス前のタレットまでも失う大損害を負った。
ほとんど無かった金銭差は一気に開き、RFが4000ゴールドもの有利を得た。
ここから先は一進一退の攻防が続くも、大きく勢いを得たRFが細かく優位を確保し、そのままゲームをものにした。
Zerost選手不在のRFにとっては大金星。DFMにとっては手痛い敗北となった。
DFMの敗因
今試合はとかくRainbrain選手のBaron Stealが注目されがちだが、大きな問題はDFMが取るべき行動を誤ってしまったという点にある。
DFMの構成を改めて確認すると、AzirとKog’MawいうレートゲームCarryを擁しながら、彼らを活かした立ち回りが的確に出来ていなかった印象を受ける。RFの構成的に後衛に触れることの出来るチャンピオンはGnarを除いておらず、互いがCarryを守りきるような集団戦を行うことが出来れば、Carryのダメージアウトップトの差から、DFMのほうが有利なはずだ。
またDFMはAzirとKog’Mawによる豊富なPokeもあり、それらを活かしてタレットシージを強制することが出来れば、より優位な展開を迎えることが出来たはずだ。
さらにLGraN氏がTwitterで、この試合はアナリストとコーチのせいだと言っていたのを記憶していた人もいるかもしれない。実はDFM、こうしたADCに比重を置きPeelをしていく作戦を、あまり練習していなかったようだ。その作戦をぶっつけ本番でやらせてしまった彼らの指示に対し、このような苦言を呈したことになる。日本一の実力を誇るDFMであっても、未習熟の作戦を用いるのは困難ということなのかもしれない。
惜しむらくもSeason1より続くLJLでの連勝は止まってしまったが、この教訓を活かせない彼らではない。次週以降、より飛躍したDFMが見られるはずだ。
ライター:President Maa
写真・編集:DetonatioNスタッフ